トヨタが世界に誇る燃料電池自動車「MIRAI(ミライ)」は、究極のエコカーとして注目を集めています。
「水素で走る」という特徴は知っていても、実際の乗り心地や使い勝手、電気自動車(BEV)との違いまで詳しく理解している方は少ないかもしれません。
この記事では、MIRAIの具体的な特徴やメリット、購入前に知っておくべきデメリットについて、実用的な視点から詳しく解説します。
読み終わる頃には、MIRAIがあなたのライフスタイルに合う一台かどうか判断できるようになるでしょう。
MIRAIとはどのような車なのか?
MIRAIは、水素を燃料として発電し、モーターで走行する「燃料電池自動車(FCEV)」です。
ガソリン車とも、一般的な電気自動車(BEV)とも異なる、独自のパワートレーンを持っています。
ここではまず、MIRAIがどのような仕組みで動いているのか、その基本的な特徴について解説します。
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水素で走るFCEVの仕組み
FCEV(Fuel Cell Electric Vehicle)であるMIRAIは、搭載したタンク内の「水素」と空気中の「酸素」を燃料電池内で化学反応させて電気を作ります。
その電気を使ってモーターを回し、タイヤを駆動させて走ります。
ガソリンエンジンのように燃料を燃やすわけではないため、走行中に排出されるのは「水」だけです。
二酸化炭素(CO2)や排気ガスを一切出さないため、「究極のエコカー」と呼ばれています。
さらに、MIRAIには吸入した空気をフィルターで浄化するシステムも搭載されており、走れば走るほど周囲の空気をきれいにするという画期的な特徴も持っています。
BEVとの最大の違い
一般的な電気自動車(BEV)とMIRAIの最大の違いは、「電気をどこから得るか」という点です。
BEVは外部からバッテリーに充電した電気を貯めて走りますが、MIRAIは自ら電気を作り出しながら走ります。
そのため、BEVのように数十分から数時間かけて充電する必要がありません。
ユーザーの使用感としては、ガソリン車のように燃料(水素)を補給するスタイルに近く、従来のカーライフから違和感なく移行できる点が大きな特徴といえます。
以下の表に、FCEVとBEVの主な違いを整理しました。
| FCEV
(MIRAI) |
BEV
(一般的な電気自動車) |
ガソリン車 | |
| 動力源 | 水素+酸素で発電した電気 | バッテリーに充電した電気 | ガソリン |
| 補給時間 | 約3分(充填) | 30分〜数時間(充電) | 約3分(給油) |
| 排出物 | 水のみ | ゼロ(走行時) | CO2、排気ガス |
| 補給場所 | 水素ステーション | 充電スポット | ガソリンスタンド |
MIRAIに乗るメリットは?
MIRAIには、環境に優しいという点以外にも、ドライバーにとって魅力的な多くのメリットがあります。
実際に所有することで得られる体験や、実用面での利点について具体的に見ていきましょう。
圧倒的な静粛性と加速感
MIRAIの走行フィールは、高級セダンの中でもトップクラスの静粛性を誇ります。
エンジンがないため、始動時から走行中まで振動や騒音がほとんどありません。
さらに、トヨタの遮音技術がふんだんに盛り込まれており、高速道路を走行していても風切り音やロードノイズが極限まで抑えられています。
また、モーター駆動特有の「踏んだ瞬間にトルクが立ち上がる」加速特性も魅力です。
アクセルペダルを踏み込むと、音もなく滑らかに、かつ力強くスピードに乗る感覚は、一度体験すると心を奪われるでしょう。
ガソリン車並みの充填時間
電気自動車(BEV)の購入を躊躇する最大の理由として「充電時間の長さ」が挙げられますが、MIRAIならその心配は不要です。
水素ステーションでの充填にかかる時間は、1回あたり約3分程度で完了します。
これはガソリンスタンドでの給油時間とほとんど変わりません。
急いでいる時や長距離移動の途中でも、数十分の充電待ちを強いられることなく、スムーズに再出発できるのはFCEVならではの大きなメリットです。
忙しいビジネスパーソンや、時間を有効に使いたい方にとって、この利便性は非常に価値があります。
長距離移動も安心の航続距離
現行モデルのMIRAIは、水素タンクの搭載量を増やし、システムの効率化を図ったことで、航続距離が大幅に延びています。
カタログ値(WLTCモード)では、グレードによって約810kmから850kmの走行が可能です。
■水素ステーションの充填能力によっては、高圧水素タンク内に充填される水素搭載量が異なり、お客様の使用環境(気象・渋滞等)や運転方法(急発進・エアコン使用等)に応じて燃料消費率は異なるため、実際の距離も異なります。
注釈のとおり実際の使用環境やエアコンの利用状況によって変動はしますが、それでも東京から大阪まで無充填で移動できるだけの実力を持っています。
頻繁に充填場所を探すストレスから解放され、ロングドライブを安心して楽しめる点は、MIRAIを選ぶ大きな理由の一つになります。
災害時に役立つ給電機能
MIRAIは「走る電源」としての機能も備えています。
車体にはアクセサリーコンセント(AC100V・1500W)が2ヶ所に設置されており、炊飯器やホットプレート、ドライヤーなどの家電製品をそのまま接続して使用できます。
さらに、災害などで停電が発生した際には、別売りの外部給電器を接続することで、住宅への電力供給も可能です。
満タンの状態であれば、一般家庭の約4日分※に相当する電力を供給できるため、万が一の際の防災ツールとしても非常に頼もしい存在となります。
※一般家庭が日常使用する電力量:1日当たり10kWh(家庭での1時間当たりの消費電力400W)として試算した場合。
充実した補助金制度
MIRAIは環境性能が極めて高いことから、国や自治体からの補助金の対象となっています。
国からの「CEV補助金」に加え、お住まいの地域によっては自治体独自の補助金が上乗せされる場合もあります。
これらを組み合わせることで、車両本体価格から大幅な実質値引きとなるケースも少なくありません。
また、購入後の税制優遇(自動車税や重量税の減税・免税)も適用されるため、購入費用とランニングコストの両面で恩恵を受けられます。
購入を検討する際は、必ず最新の補助金情報をディーラー等で確認することをお勧めします。
MIRAIのデメリットや注意点は?
多くのメリットがある一方で、MIRAIにはFCEV特有の課題や注意点も存在します。
購入してから「こんなはずじゃなかった」と後悔しないために、デメリットについても正直に解説します。
水素ステーションの場所と営業時間
最大の懸念点は、水素ステーションの数がガソリンスタンドに比べて圧倒的に少ないことです。
都市部では整備が進んでいますが、地方や山間部ではステーションを見つけるのが難しい場合があります。
また、多くの水素ステーションは24時間営業ではなく、夜間や定休日は利用できない場所も少なくありません。
そのため、自宅や職場の近くにステーションがあるか、よく行くドライブコース上に充填場所があるかを事前に確認することが必須です。
専用アプリなどで稼働状況をチェックする習慣も必要になるでしょう。
車両価格と燃料代の相場
MIRAIは高度な技術の結晶であるため、車両本体価格は700万円台から800万円台という高級車の価格帯になります。
補助金があるとはいえ、初期費用は決して安くありません。
また、燃料である水素の価格も気になるところです。
昨今のエネルギー情勢により水素価格は変動するため、電気代より安い・高いといった見通しも立てにくい状況にあります。
ランニングコストだけで元を取ろうとするのではなく、乗り心地や環境性能、先進性といった付加価値に重きを置く視点が大切です。
トランク容量の制限
MIRAIは車体の中に大きな水素タンクを3本搭載しています。
そのうちの1本が後部座席の後ろやトランク下部に配置されている関係で、トランクスペースには若干の制約があります。
ゴルフバッグであれば3個は収納可能※ですが、セダンというボディ対応の仕様上、トランクスルー機能(後席を倒して長尺物を積む機能)は備わっていません。
※9インチゴルフバッグ。ゴルフバッグの形状によっては収納できない場合があります。
日常的な買い物や旅行には十分ですが、大きな荷物を運ぶ機会が多い方は、実車でトランクの形状を確認しておくと安心です。
乗り心地・走行性能はどうなのか?
スペックや機能だけでなく、実際にMIRAIを運転したときの感覚や評価も気になるところです。
ここでは、走りに関する評判や乗り心地について掘り下げます。
高級セダンとしての乗り心地
MIRAIは、トヨタのFR高級車向けプラットフォーム(GA-Lプラットフォーム)を採用しています。
そのため、路面の凹凸をしなやかにいなす上質な乗り心地が実現されています。
車体剛性が高く、どっしりとした安定感があるため、長時間の運転でも疲れにくいのが特徴です。
意のままに操れるハンドリング
現行のMIRAIは後輪駆動(FR)を採用しており、走りの楽しさも追求されています。
重量物である水素タンクや燃料電池スタックをバランスよく配置することで、前後重量配分を理想的な50:50に近づけています。
これにより、カーブを曲がる際も素直なハンドリングを示し、ドライバーの意図通りに車が動いてくれます。
低重心化も相まって、山道や高速道路のカーブでもふらつきが少なく、地面に吸い付くような走りを体感できるでしょう。
エコなだけでなく、運転する歓びも味わえるのがMIRAIの魅力です。
MIRAIはどのような人におすすめか?
ここまで解説した特徴を踏まえると、MIRAIは全ての人に適した車ではありませんが、特定の条件に当てはまる人にとっては最高のパートナーになります。
具体的にどのような人におすすめできるかを整理します。
自宅近くにステーションがある人
MIRAIを所有する上で最も重要な条件は、生活圏内に水素ステーションがあることです。
自宅から10~15分圏内、または通勤経路上にステーションがあれば、むしろガソリン車より燃料補給の手間を減らすことができます。
逆に、充填のためにわざわざ遠回りをする必要がある場合、日々のストレスになりかねません。
まずは最寄りのステーションを検索し、その営業時間をチェックすることから検討を始めると良いでしょう。
充電時間を短縮したい人
「BEVの静かで滑らかな走りは魅力的だが、出先での充電待ち時間は許容できない」という方に、MIRAIは最適な選択肢です。
ビジネスで車を使う方や、週末に長距離ドライブを楽しみたい方にとって、3分でエネルギー補給が完了するスピード感は代えがたいメリットです。
時間を有効に使いたい、移動の自由度を損ないたくないというニーズに、MIRAIは完璧に応えてくれます。
災害対策を重視する人
近年、自然災害による大規模停電のリスクが高まっています。
そのような非常時に、自宅に電気を供給できる手段を持っていることは大きな安心感につながります。
電気を備蓄するのはメンテナンスが必要ですが、MIRAIなら普段は快適な移動手段として使い、いざという時は大容量の電源車として機能します。
BCP(事業継続計画)対策を考える法人や、家族の安全を守りたい戸建てオーナーにとって、この「もしもの備え」は大きな購入動機になり得ます。
記事のまとめ
この記事の要点をまとめます。
・MIRAIは水素で電気を作って走るFCEVで、排出ガスゼロの環境性能と約3分での燃料充填が魅力です。
・圧倒的な静粛性と加速、800km前後の航続距離(WLTCモード)、災害時の給電機能など、実用性と快適性を兼ね備えています。
・導入の際は、近隣の水素ステーションの有無を確認し、補助金を活用してコストを抑える検討が重要です。
MIRAIは単なる移動手段ではなく、未来のエネルギー社会を先取りする特別な一台です。
ライフスタイルに合致すれば、これまでにない快適さと満足感を提供してくれるでしょう。
